赤ちゃんを迎えると、育児に関する悩みや不安はつきものです。特に「母乳だけで足りているのかな?」「粉ミルクは使っていいの?」といった授乳に関する疑問は、多くのママ・パパがぶつかるポイントです。
母乳育児を目指していても、体調や生活スタイル、赤ちゃんの飲み具合によって粉ミルクを併用することも自然な選択肢のひとつ。とはいえ、「どの粉ミルクを選べばいいの?」「使い方にコツはある?」といった疑問が出てきます。
この記事では、赤ちゃんを迎えたママ・パパのために、ミルクの基礎知識から選び方、上手な使い方のポイントまで、ベテラン助産師が、やさしく丁寧に解説していきます。赤ちゃんにとっても、ご家族にとっても安心できるミルク育児のヒントを、ぜひ参考にしてください。
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ミルク作りの基礎知識

赤ちゃん用の栄養を支えるミルク。母乳に含まれている栄養素を参考に、母乳の代わりとなるよう成分を調整されたミルクで『人工乳』と呼ばれます。
赤ちゃんが成長するために必要なたんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル・炭水化物などが配合されています。
様々なメーカーから販売されていますが、どのメーカーを選んでも厚生労働省が定める規定に基づき製造されているため基本的な栄養素に大きな違いはありません。
ミルクの種類
- 粉ミルク:缶に入った粉状のミルクが一般的ですが、個包装された粉ミルク
- キューブタイプミルク:キューブ1個をお湯に溶かすとミルク○mlというキューブタイプミルク
- 液体ミルク:調乳不要で外出時や災害避難場所などで、そのまま飲ませることが可能なミルク
- 特殊ミルク:アレルギーや低出生体重児用など赤ちゃんの体質や状態に合わせたミルク
📊 粉ミルクの種類と特徴
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
一般粉ミルク | 市販されている標準的なタイプ | 入手しやすく、栄養バランスが良い | 特別な対応が必要な赤ちゃんには向かない |
特別用途粉ミルク | アレルギーや低出生体重児用など | 赤ちゃんの体質に合った成分 | 医師の指導が必要な場合もある |
液体ミルク | 開けてすぐに飲める | 外出先で便利 | コストが高めで保存期間が短いものも |
赤ちゃんの体調や状況、ミルク作る人の作りやすさなどに合わせて、無理なく選ぶのがポイント
ミルク作りに必要な器具
ミルク作りを初めてする前に、以下のような器具を用意すると安心です。
ミルク作りに必要なアイテム
- 哺乳瓶(ガラス製またはプラスチック製)
- 哺乳瓶の乳首(赤ちゃんの月齢に合ったもの)
- ミルク用スプーン(缶で購入すると入っている)
- お湯(調乳ポットまたは電気ケトルなど)
- 哺乳瓶用の消毒器または鍋
- 哺乳瓶用のブラシ
ミルクの作り方

ミルク作りにはいくつかの手順がありますが、慣れてしまえばスムーズにできるので、ポイントさえ押さえれば心配いりません。
手を洗う
大切な赤ちゃんのお口に触れるものを触るので、まずは清潔第一。石けんと流水で手をしっかり洗いましょう。
器具を消毒する
哺乳瓶や乳首は赤ちゃんの口に入るもの。毎回消毒を忘れずに。
いくつか消毒方法がありますが、〝使いやすいかな”とご自身が感じるものでOK!
📊 消毒方法の比較
方法 | 所要時間 | 特徴 |
---|---|---|
煮沸消毒 | 約10分 | 鍋と水があればOK |
電子レンジ消毒 | 約5分 | 専用容器が必要 |
薬液消毒 | 約30分〜 | 哺乳瓶をつけておくだけで簡単 |
筆者は、毎回哺乳瓶を使用していた訳ではないので、使用するときだけお手軽な電子レンジ消毒をしていました。毎回、哺乳瓶を使用する場合は、ミルトンなどの薬液に浸けておくだけの薬液消毒がお手軽、便利です。
ミルクの量を測る
赤ちゃんの月齢や体調に合った量を確認し、添付スプーンですりきりで正確に測ります。
粉ミルクの量をスプーンで計測する場合は、必ず購入したミルクに付属しているスプーンできっちりと計量しましょう!大雑把にするとミルクの濃度が変わるため、場合によっては赤ちゃんの腎臓などに負担のかかることがあります
お湯を準備する
70℃以上のお湯が推奨されています。やかんや調乳ポットで沸かし、少し冷ましたものを使いましょう。
水道水の場合は、一度沸騰させたもので、70℃以上の湯で粉を溶かしましょう!
なぜ、70℃以上なのか
予備知識として、なぜ70℃以上のお湯で粉ミルクを溶かす必要があるのか。70℃以下では、なぜダメなのかのお話です。
粉ミルクには、稀にサカガキ菌という菌が認められます。これは昔の話ではなく2000年代に入ってからもアメリカでも日本でも発見されています。アメリカでは死亡例も。
その菌を殺菌するために必要なのが、粉を溶かす際の温度!
つまり、サカガキ菌は70℃以上で死滅します。WHOでも、粉ミルクは70℃以上のお湯で調乳するように決められています。
というわけで、大切な調乳時のお湯の温度、赤ちゃんを守るために守っていきましょう!
ミルクを哺乳瓶に注ぐ
粉ミルクを先に入れたあと、お湯を入れて溶けやすくします。
お湯を先に入れてから、粉ミルクの粉を入れると出来上がり量が変わるため、ミルク濃度が変わります。そのため、粉を入れる⇒お湯を入れるという順番を守りましょう
ミルクを溶かす
よく振って完全に溶かします。底にミルクの粉が固まっていることがあるので、底も確認して溶かしてください。
適温になるまで冷ます
流水につけるか、冷水を入れたボウルで冷まし、人肌(約40℃)になるまで待ちます。
秒で作れるミルク調乳の方法
ミルクの作り方の基本を前項で記載しましたが、ここから応用編!
熱いお湯で作ったミルクを、適温まで冷ますのは結構大変です。特に赤ちゃんがおなかすかせて泣き出したりしたときには、早く飲ませてあげたいのにイライラします。
そこで、登場するのがウォーターサーバー!ウォーターサーバーがあれば、ミルク調乳は秒でできます。
では、秒で作る調乳をしてみましょう!
- 必要物品(哺乳瓶、ミルク、お湯など)を準備
- 哺乳瓶に必要量のミルクの粉を入れる
- 粉が隠れる量くらいだけ、ウォーターサーバーからお湯を入れる
- 粉がしっかりとけたのを確認
- 飲ませる分量の目盛りまで、ウォーターサーバーの水を入れる
- 温度を確めて飲ませる
一瞬でミルク作り完了、すぐに飲ませてあげることができます。
ウォーターサーバーがない場合は、一度沸騰させたお湯を消毒済の容器に入れて冷ましておき、粉を70℃以上で溶いたあと、飲ませる分量の目盛りまで沸騰したあと冷めたものを入れて適温にするということも可能です!ただし、沸騰から時間が経ってしまうと菌の繁殖なども気になるため、あまりおすすめはしません。
赤ちゃんが小さいうちは、ミルクや離乳食、自分のことをおろそかにして育児に一生懸命なママの水分摂取のためにもウォーターサーバーがあると重宝します。大切な赤ちゃんのミルク作りも考慮された水を使用しているウォーターサーバーの記事もよろしければどうぞ。⇒コスパ重視 赤ちゃんのいる家に必須のウォーターサーバー

ミルクを飲ませるときのポイント
正しい授乳姿勢
赤ちゃんの頭が少し高くなるように抱きかかえ、哺乳瓶を少し傾けて、口に含んでる乳首の部分をミルクで満たしてあげてください。乳首のところに空気をなくしてあげることで、空気を飲み込みにくくなります。
ゲップさせる方法
飲み終わったら必ずゲップをさせましょう。
ゲップのさせ方

赤ちゃんを縦に抱っこしましょう!空気は上にあがるので、胃から口元へあがってきます。
ゲップをさせる大人の肩にもたれかからせるように抱っこし、胃の裏側から上に背中をさすってあげましょう。トントンしてあげてもOKです。
ミルクの保存方法と注意点
開封後のミルクの保存方法
直射日光を避け、湿気の少ない場所に保管しましょう。開封後は1か月以内に使い切るのが基本です。
冷蔵保存するときの注意点
作ったミルクは冷蔵庫で保存できますが、2時間以内に使うのが望ましいです。一度飲み始めたものは再利用せず破棄を。
作り置きするときの注意点
外出前などに作り置きする場合は、保冷バッグや魔法瓶で適温を保ちましょう。ただし、基本はその都度作るのが安全です。
ミルク作りに関するよくある疑問
ミルクは熱湯で作るべき?
いいえ、70℃以上あれば十分です。熱湯(100℃)だと栄養素が壊れる場合もあるので注意。水道水を使用する場合は、一度沸騰させておきましょう。粉を溶く際には70℃以上あればOKです。
水道水は使ってもいい?
日本の水道水は衛生的ですが、気になる場合は浄水器を通したものや市販のベビー用水を使うのも◎。ミネラルが多いものは負担になることもあるので、ミネラルウォーターを使用する際は粉ミルクに使用してよいものか確認が必要です。
ミルクが溶けないときの対処法は?
温度が低すぎると溶けにくくなります。70℃以上のお湯でしっかり溶かし、溶け残りがないように確認しましょう。
まとめ
粉ミルクは、赤ちゃんの健やかな成長をサポートしてくれる大切な栄養源です。
ミルク作りの手順やポイントを押さえておけば、毎日の授乳もぐっと楽になります。
初めての育児はわからないことだらけ。でも、少しずつ慣れていけば大丈夫。この記事が、新しい家族の毎日に少しでも安心と笑顔を届けられたら嬉しいです。
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