搾乳は、直接母乳を飲めない赤ちゃんに母乳を飲ませてあげることができたり、母乳量を増やすことができたりメリットがたくさんあります。
そんな搾乳ですが、まず手で搾乳するのか、搾乳器が必要なのかどうなのか。搾乳器なら手動・電動どちらがいいのか、ピジョン、メデラ、カネソンなどメーカーもさまざま。いざ購入を検討すると悩むポイントがたくさんあります。
今回は、搾乳のメリットや、助産師として様々な搾乳器を、いろんなおっぱいの形をしたママに体験してきた経験や、ママからの意見も踏まえ、楽に使えて、手入れもお手軽な搾乳器も解説していきます。ぜひ購入時の参考にしてください。
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搾乳のメリット
搾乳は、母乳を赤ちゃんに与えるための手段の一つで、多くのママが選ぶ方法です。搾乳には、母乳育児をサポートするさまざまなメリットがあります。ここでは、搾乳がもたらす主なメリットについて紹介します。
1. 他の人が授乳できる
搾乳した母乳を哺乳瓶に保存することで、パパや他の家族が赤ちゃんに授乳できるようになります。これにより、ママが休息を取ったり、外出したりする時間を確保でき、育児の負担を軽減することが可能です。
2. 外出や職場復帰に対応できる
仕事に復帰する場合や外出の際にも、搾乳しておけば母乳育児を継続できます。冷蔵庫や冷凍庫で保存した母乳を、必要なときに赤ちゃんに与えることができるため、母乳育児を止める必要がありません。
3.張りすぎた乳房を授乳前に飲みやすくする
乳房が張りすぎてパンパンになっている際は、授乳前に少し搾乳でほぐしてあげると赤ちゃんが飲みやすくなります。
4. 乳腺炎や乳房の痛みを予防できる
搾乳は、乳腺炎や乳房、乳首の痛みを予防する手段としても有効です。母乳が溜まりすぎてしまうと、乳房に張りや痛みを感じることがあります。定期的に搾乳を行うことで、母乳の詰まりを防ぎ、乳腺炎を予防できます。
5. 母乳の保存ができる
搾乳した母乳は冷蔵や冷凍保存が可能なため、必要なときに備えてストックしておけます。赤ちゃんが成長し、授乳間隔が変わる時期や、ママの体調が優れないときでも、事前に搾乳しておくことで安心して母乳を与えることができます。
6. 特別な授乳状況に対応できる
早産児や体重が低い赤ちゃん、吸う力が弱い赤ちゃんには、直接授乳が難しい場合があります。こうした場合、搾乳した母乳を哺乳瓶やチューブで与えることで、母乳の栄養を提供することができます。
7.断乳や卒乳に対応する
授乳の時期が終わるとき、乳房のトラブルを避けるために搾乳が必要になることがあります。
もう一つのメリット
母乳分泌量を増やしたいときに搾乳を行う
母乳の分泌量は、乳房からどれくらいの母乳が飲み取られたかで変わってくると言われます。
つまり、授乳後にたくさんの母乳が乳房に残っているとママの脳は〝あれ?母乳作りすぎた?”と考え、母乳量は増やされません。
逆に、授乳後に乳房に母乳がなくなっているとママの脳は〝あれ?足りなかった?もっと作らなきゃ”と考え、母乳量が増えます。
母乳を増やしたいというときに必ず言われる【頻回授乳】も同じ原理です。頻回に飲み取られることによって、〝しょっちゅう母乳が飲まれてる!もっと作らなきゃ!”とママの脳が考え、母乳の分泌量が増えます。
母乳を増やしたいときは、授乳後に【ママが『おっぱい空っぽになった』と感じるくらいまで搾乳する】と分泌が増えます。数日で分泌量アップが実感できることも!
ポイントは【ママが『おっぱい空っぽになった』と感じるくらいまで搾乳する】こと。実際のおっぱいは空っぽになることはありませんが、搾乳していると「もう、出ないかな~」と感じてきます。その時点でやめてOK!
分泌を増やしたい場合は、授乳後に毎回するのがおすすめ。ただ、毎回はしんどいという場合は1日数回でもいいのでおこなってみてください。
搾乳器は必要?いつ購入?
まず、赤ちゃんがしっかり母乳を飲んでくれて、ママの直接授乳で問題ないと感じているなら、搾乳器は必要ありません。なので、妊娠中に購入する必要はなく、必要となったときに購入するのがおすすめ
妊娠中のママが『私の乳首大きいから飲めないと思う』や、逆に『私の乳首は陥没してるから飲めないと思う』と心配されていることがありますが、そういう場合も前もって購入するのはやめましょう。
一見、飲みにくそうと思うおっぱいでも上手に飲める赤ちゃんはいっぱいいます。逆に、教科書に載せれるくらい綺麗な形のおっぱい、乳首でも飲めない赤ちゃんもいます。
搾乳は手でするか、搾乳器か、どちらがいい?
手でもコツをつかむと上手にできるママは多いです。ただコツが必要なので、頻回な搾乳で手が痛くなってしまったり、自己流で搾乳し乳腺を傷めてしまうこともあります。
ご自身の手で搾乳を行いたい場合は、産院に相談してみるか助産院などを利用して教えてもらいましょう。自己流はおすすめしません。
手で行う搾乳、搾乳器での搾乳、それぞれの特長をみていきましょう。
手でする搾乳
手搾りのメリット
- どこでもできる:道具を必要としないため、外出先や突然の授乳にも対応可能
- コストがかからない:搾乳器を買う必要がなく、経済的
- 母乳の流れを調整しやすい:自分の手の圧力をコントロールできるので、母乳が詰まりやすい部分や痛みを感じる部分に優しく対応が可能
手で搾乳する方法
- 正しい姿勢で座る:手を綺麗にあらい、消毒した哺乳瓶を準備して、椅子にリラックスして座り、肩や首の力を抜いて背筋を伸ばしましょう
- 片手で乳房をつかむ:親指を乳輪の上側、他の指を乳輪の下側に配置。指は乳首から2~3㎝離れた所で、乳首自体は触らない
- 指で乳輪に圧力をかける:親指、他の指で乳腺があるところを圧迫。このとき、乳首のほうへ引っ張りたくなりますが、引っ張るのではなく、圧迫するのがポイント
- 圧迫した指をゆるめる:圧迫と解放をリズミカルに繰り返すことで母乳がでる
手で搾乳する際のポイント
- 1回の搾乳時間は15分前後までで、長すぎる搾乳は行わない
- 母乳量UPを目指したいときは、乳房が空っぽになったと感じるところまで搾乳するとよい
- 頻回に搾乳すると母乳の生産量が安定しやすい
- 搾乳した母乳は、すぐに飲ませるか、冷蔵・冷凍で保存をする
搾乳した母乳は、冷蔵で約24時間、冷凍で約1ヵ月程度を目安に使い切りましょう。回答は自然解凍または、お湯で湯煎して温めます。
搾乳器での搾乳
搾乳器のメリット
- 楽に使える搾乳器が増えているため、手の疲れも少なく、スムーズに多くの母乳が搾乳しやすい
- 電動を使用すれば、短時間で搾乳できることが多く、忙しくても効率的に搾乳が可能
- 両方の乳房を同時に搾乳できるものもあり、時短効果が高いほか、両方同時に搾乳することで母乳量UPにもつながりやすい
搾乳器で搾乳する方法
- 搾乳器の準備:搾乳器を消毒し、手も洗って母乳が雑菌に汚染されないよう準備する
- 搾乳器を正しく装着:リラックスして座り、搾乳器のカップを乳首が中央にくるようカップをフィットさせる
- 搾乳を開始:電動の場合は最初弱めから始め、徐々に自分に合った圧まで調整しましょう。手動の場合はゆっくりレバーを押しながら搾乳を始める
- 搾乳できたら保存:搾乳した母乳は、すぐに飲ませるか、冷蔵・冷凍で保存をする
搾乳器で搾乳する際のポイント
- 搾乳器のカップはフィット感が大切:乳房や乳首のサイズが合っていないと、痛みや傷の原因になる
- 吸引力を調整:吸引力が強すぎると乳首に傷が付いたりするので、痛みを感じない程度の圧で行う
- 搾乳後のケア:乳房を綺麗に拭き取りましょう。乳房に乳汁がついていたりすると菌が繁殖したり、肌がかぶれる原因になる
搾乳器は、効率的に短時間で搾乳しやすく、乳汁産生UPも効率的に行いやすいです。頻回に搾乳が必要な場合や、楽に搾乳を行いたい場合は、購入の検討する価値があります
搾乳器は手動・電動、どちらがいい?
搾乳器は大きく分けて「手動」「電動」2つのタイプがあります。どちらがいいのかは使う期間やイメージしてる使い方から決めるとよいでしょう。
手動が向いてる方
- 短期間の使用予定
- 職場や出先でも利用予定
- 乳腺炎などトラブル時のみ使用したい
- 手ごろな価格のものがほしい
- 電動は持っているがもう1台欲しい
電動が向いてる方
- 長期間の使用予定
- 自宅で利用予定
- とにかくラクに搾乳したい
- 搾乳しながら育児日記つけたり他のことをしたい
搾乳器のデメリット
- 搾乳器を購入、維持するためのコストが必要
- 搾乳する手間と時間が必要
- 搾乳器の消毒など清潔に使用するための手間と時間が必要
- 搾乳した母乳をすぐに飲ませない場合は、冷蔵・冷凍したり、飲ませる際には適温にする手間が必要
慣れてしまえば問題ないデメリットばかりですが、直接授乳で赤ちゃんに飲んでもらうよりは上記のような手間がかかります。
搾乳器の選び方
手動・電動どちらがいいか決める
手動が向いている | 電動が向いている |
短期間の使用予定 | 長期間の使用予定 |
職場や出先でも利用予定 | 自宅で利用予定 |
乳腺炎などトラブル時のみ使用したい | とにかくラクに搾乳したい |
電動は持っているがもう1台欲しい | 搾乳しながら育児日記つけたり他のことをしたい |
使用場面や頻度、どのくらいまで使用予定かの使用期間をイメージして考えて選ぶのがポイント
射乳反射を促す機能つきのものを選ぶ
実は、赤ちゃんは母乳を飲み始めるとき『射乳反射』というものを促すための飲み方をして、その後、射乳が起こるとゆっくりと飲みます。
おっぱいの吸い始めは、【ちくちくちくちく】と速いリズムでおっぱいを刺激し、『今から飲むよ、おっぱい出してね~』とママの脳に合図を送ります。ママの体が反応して、母乳が射乳し始めると速いリズムではなく、ゆっくりと【こくんこくん】と飲むという、赤ちゃんは授乳の前半後半で吸い方のリズムを変えています。
それを実現できる『射乳反射(催乳反射)』を促す機能つきがおすすめです。より赤ちゃんの刺激に似た動きを再現しています。
これは60年に渡り母乳育児を世界的にサポートしているスイスのメデラ社の有名な「ハーモニー」という搾乳器です。
ハンドルを握って搾乳します。
これは搾乳し始めは上側の短い①レバーを動かし、少し出始めてきたら今度は下側の長い②レバーで搾乳を行います。
赤ちゃんのおっぱいの刺激の仕方に似た刺激をハンドルで行えるようになっているのでオススメです。
このように実際の赤ちゃんの飲み方と似ている刺激を与える搾乳器を選ぶのがポイントです
手入れのしやすさをチェック
赤ちゃんが飲む母乳を搾るものだから、常に清潔にしておきたいもの。ただ手間がかかるのは大変なので、お手軽に分解できて洗いやすく設計されているものを選びましょう。
メデラは簡単に分解し消毒、消毒後の装着も簡単です。
ダブルポンプにするかどうか
両胸を同時に搾乳するというダブルポンプでの搾乳器もあります。
メリットは、両方同時に搾乳することで時間短縮になることと、片方ずつ搾乳するより両方同時に搾乳するほうが母乳分泌量が増えるというメリットもあります。
画像からも分かるように、これは電動のダブルポンプです。母乳量を増やしたい方や効率的に搾乳したい方に特におすすめです。
一日に何度も使用すること、ストレスや疲れが母乳分泌を減少させることを考えると、電動で両乳房を同時に搾乳できる電動ダブルの搾乳器はオススメです。
吸引圧は9段階に調節できるので、最初は弱い圧から始め、痛みなく分泌がよいと感じる圧へ調整しましょう。
助産師である筆者がおすすめする搾乳器
Medela(メデラ)というメーカーは聞かれたことがない方が多いかもしれませんが、産科や母乳を推進しているところでは一番使用されている搾乳器のメーカーです。
おすすめされている理由は、乳房への刺激が、赤ちゃんが乳房を吸うときに近い刺激となっていることです。そして簡単に分解・装着がしやすいことで、忙しい育児の合間にも消毒が行いやすいことなどです。
Medela(メデラ)ハーモニー手動
赤ちゃんの自然な飲み方が再現されている手動タイプ
催乳(射乳)反射も促されます。乳房が圧迫されないよう搾乳口の角度が105°に設計されており、乳房を支える部分も楕円形で360°回転できるため、乳房の形や大きさにフィットさせやすく調節がしやすいです。
約100gと軽量なので外出時も持ち歩きしやすいのもポイントです。
Medela(メデラ) スイング・マキシ(電動)
ダブルポンプで両胸同時搾乳できる電動タイプ
両胸同時搾乳で時間が大幅に短縮できるほか、母乳量分泌UPにも有効で、搾乳母乳量が18%アップし、母乳の脂肪分もUPすることが研究でわかっています。
パーツも少ないので、お手入れがしやすくなっているのもポイントです。
このメデラのダブルポンプが一番、効率的であることと、母乳分泌を増やしやすい点かたもおすすめですが、少し値段のはることが難点。
最近はピジョンの電動も使いやすいということで、産院でも取り入れ始めたため、少し値段の抑えられるピジョンもご紹介しておきます。
ピジョン 母乳アシスト(電動)
操作もシンプルでお値段もお手頃
赤ちゃんの吸いかたに近い速いリズムから、ゆっくりとしたステップに切り替えが可能。吸引圧も6段階に調節可。
こちらもパーツが少なめなので、お手入れが簡単です。充電バッテリー内蔵なのでコードレスでも使用できるのが嬉しいポイント!
電動のなかではお値段が手ごろ。お値段の割に機能充実。
ピジョン 母乳アシスト(手動)
自分の力で調整しながら搾乳
搾乳器のハンドルが90°くるっと回るので握りやすい位置に調節可能。
使いやすさとお手頃価格でいつでも売れ行き好調な搾乳器。
分解できて清潔を保てるのもメリット!
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